Google I/O 2014 Android Lが登場



Google I/O 2014 Keynoteで新しいAndroidが登場しました。
名前は「Android L」、Developer Previewも後日公開予定です。Google I/O 2014ではAndroidのマルチスクリーン戦略が押し進められました。
特に重要な要素として「マテリアルデザイン」が発表され、Androidアプリケーションのデザインに大きな変化を与えています。またシームレスなデザイン連携により、Webからアプリ、アプリからWebの双方向にあった壁を排除して、シームレスに統一的な体験を提供します。

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Android 4.x(または5.0)として注目を集めたAndroid Lをはじめ、GoogleによるAndroid搭載リファレンスandroid one、テレビ、ゲーム向けのandroid tv、自動車向けのandroid auto、ウェアラブル端末向けのGoogle Wearなど盛りだくさんです。それぞれ明確なターゲットをもっており、スマートフォンを中心としてさまざまな利用シーンに進出する姿勢が明らかになりました。Chrome OSでもAndroidアプリが動くなど驚きの機能も公開されました。この記事ではAndroid Lを中心にAndroidを中心としたマルチスクリーンの考え方、新しいマテリアルデザインを解説します。

それでは続きをどうぞ。

Androidのシェアについて

写真は特にタブレットについてAndroidの占有率が62%を超えたことを挙げています。

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またAndroidスマートフォンでも順調にシェアを伸ばしており、今回はシェア占有率ではなく利用頻度について触れています。30日アクティブなユーザーは10億人を超えて、テキストメッセージの送信回数、一日にスマートフォンがチェックされる回数を挙げています。

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このような利用機会の増大に対して最適な体験を提供するため、Android Lは、シームレスな連携をテーマに作られています。

android one

Androidを普及させるため、Android搭載端末のリファレンス提供プログラム「android one」が発表されました。
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android oneではDOS/V機での標準化のようにAndroidとしての必要な機能を搭載したリファレンスデザインをOEMメーカーに公開、安価に素早く、Android端末をメーカーが作れるように推進していきます。
また、android oneにはオートアップデート機能が搭載され、常に最新のAndroidアプリケーションが利用できるようになります。

これらを通じてAndroid OSのバージョンでの分断化を緩和してGoogle Play Services(がOS差異を吸収することによる)共通の体験、インターフェイス、セキュリティパッチを提供していく方針を明らかにしました。

Androidのマルチスクリーン戦略を支えるマテリアルデザイン

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Android Lでは新しいデザイン、「マテリアルデザイン」が導入されました。いままでの静的なレイアウトではなく、レイアウトに奥行を導入しました(Z軸方向に要素をならべてそれぞれが意味を持ちます)。また、アニメーションも強化、動き(モーション)もスムーズで、複数のアクティビティだけでなく、アプリケーション間でもシームレスになりました。

これらをサポートするため、Android Lでは新しいマテリアルテーマアニメーション、奥行を表現するため、3DのView構造とオブジェクトに対してのリアルタイムのshadowマッピングを備えています。

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Android L以降では上記の写真のようにレイアウト構造は3D的な深さをもち、それぞれの要素に意味づけがなされます。これらの階層構造を駆使することでマルチスクリーンに対応した最適なレイアウトを作れます。また画面遷移する場合は、それぞれの要素がアニメーションし、シームレスな連携を強調しています。また、画面変更時は操作がわからなくなりがちでしたが、アニメーションを強化して注目すべき導線を明確にしています。

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この2枚の写真はアプリケーションのリストをスクロールしていますが、タブの上にある検索バー、ピン止めしたアイテムはスクロールの動きに従い、スムーズに画面外に排除されています。最近のトレンドとなりつつある動きですが、これらを推し進めることで何に注目するべきか、スクロールがどのような効果があるか、を見た目にわかりやすくしています。

これらは各要素をマテリアルとよび、メタファー化して視覚的な手掛かりを与えています。フラットデザインの弱点のひとつに、ユーザーがどういう操作をしたらよいか(アフォーダンス)がわからない、というものがありました。3次元的な深さや動き(アニメーション)に意味づけすることで、次の操作を示唆してアフォーダンスを理解するのに役立ちます。

マルチスクリーンを意識した通知機能の拡張

Android Lでは通知機能も大幅に拡張されています。見た目の変更よりも通知の合理化、複数のデバイスでの通知領域の同期(Google Wearの時計でメールを既読にしたら、スマホ側も既読になる)などです。

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また通知に優先度を付けられます。優先度順に表示することはもちろん、緊急の用件であればheads upという新機能を使えば画面上部に表示することが可能です(現時点でよくあるインターフェイスとしてはLINEのメッセージ受信による画面割り込みがちかいのかもしれません)

パフォーマンスの向上

  • Chromeブラウザでのレンダリング能力向上
  • ART導入によるパフォーマンス向上
  • Android Extension Packでのグラフィック機能強化

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Chromeブラウザではマテリアルデザインのような複雑なアニメーション、レイアウト構造をウェブの世界で実装しても60fpsでアニメーションします。Webとアプリのシームレスな連携を進める中のひとつとして「App Indexing」の導入も発表されました。これは検索からアプリケーションに直接ジャンプできる機能でWebだけでなくアプリケーションも検索インデックスに加える試みです。

またAndroid LではDalvikを廃止してARTを採用したことでパフォーマンスは2倍に向上、GCによる停止も格段に小さくなりました(2ms~4ms)。合わせて64ビット化も行われています。

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Android Extension PackではOpenGLではない独自の拡張命令を追加しました。これらによりUnrealエンジンがAndroid上でスムーズに動作するなど高品位な3Dゲーム制作に活かせます。

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プロジェクトVoltaによる省電力機構の追加

Android Lでバッテリ継続時間の増加を目標に取り組んだプロジェクトがVoltaです。

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バッテリ駆動時間を調査するBattery Histrianの搭載、バッテリを長持ちさせる新API、JobSchedulerAPIなどが発表されました
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またバッテリーセーバー(Battery Saver)モードを搭載、利用することでバッテリ消費を抑止できます。

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Android LはまだDeveloper Previewですが、マルチスクリーンにおけるデザイン、パフォーマンス向上、バッテリ寿命の延長など、新しいデザインへの挑戦と着実な進化の両軸を狙ったバージョンといえるでしょう。