Android 4.0(IceCreamSandwich)からBluetoothのHealthデバイスのサポートが追加されました。
ヘルスデバイスとは医療、フィットネス、健康器具などヘルス分野の製品のことで、Bluetooth Health Device Profile(HDP)としてBluetoothでは通信を規格化しています。
4.0での対応により、AndroidからもHDP対応ヘルスデバイスを使えることになりました。Health Device Profile対応により、血圧計、歩数計や体重計など健康器具とのデータ交換が容易に行えます。
今回は、Bluetooth Health Deviceとの通信方法を紹介します。
android.bluetoothパッケージにBluetooth Health関連クラスが追加されています。
追加されたクラス名 | 説明 |
---|---|
BluetoothHealthクラス | BluetoothHealthデバイスを管理する |
BluetoothHealthAppConfigurationクラス | BluetoothHealthデバイスへの接続設定を保持する |
BluetoothHealthCallbackクラス | BluetoothHealthデバイスの状態変更通知を受け取る |
application configurationとは、ヘルスデバイスとの接続に利用されるアプリケーション設定で、サードパーティ、開発者がヘルスデバイスとBluetoothで通信するための状態通知コールバック設定、設定名などが格納されています。
接続するためのサンプルコードは以下のとおりです。
※Android 4.0およびヘルスデバイスを入手できていないため、本記事でのサンプルコードは、概要を理解するためのコードスニペットとお考えください。実際に試すには修正が必要です。
ヘルスデバイスの検出処理
以下はヘルスデバイスの検出と切断に合わせて、ヘルスデバイスを管理するためのBluetoothHealthインスタンスを取得するサンプルコードです。
ここでは、BluetoothAdapter(Bluetooth接続のためのアダプタ)からヘルスデバイス接続通知を受け取り、BluetoothHealthインスタンスを取得します。
サンプルコード
BluetoothHealth mBluetoothHealth; BluetoothAdapter mBluetoothAdapter = BluetoothAdapter.getDefaultAdapter(); // デフォルトアダプタからヘルスデバイスへの接続権を取得する mBluetoothAdapter.getProfileProxy(context, mProfileListener, BluetoothProfile.HEALTH); private BluetoothProfile.ServiceListener mProfileListener = new BluetoothProfile.ServiceListener() { public void onServiceConnected(int profile, BluetoothProfile proxy) { if (profile == BluetoothProfile.HEALTH) { //ヘルスデバイスが検出された mBluetoothHealth = (BluetoothHealth) proxy; } } public void onServiceDisconnected(int profile) { if (profile == BluetoothProfile.HEALTH) { //ヘルスデバイスが切断された mBluetoothHealth = null; } } };
5行目:デフォルトアダプタのgetProfileProxyメソッドをつかって、ヘルスデバイスの接続状態が変化した際に、通知するリスナーを登録します。
7行目:BluetoothProfile.ServiceListener(mProfileListenerインスタンス)を作成します。
9行目:接続されたprofileの種類がヘルスデバイスであれば、ヘルスデバイスが接続されたと判断します。
11行目:受け取ったproxyはBluetoothProfileクラスなので、BluetoothHealthクラスにキャストして利用します。
17行目:もし、ヘルスデバイスが切断された場合は、インスタンスは失われるため、null代入して処理を終了します。
ヘルスデバイスとの接続
接続するためのアプリケーション設定
Bluetooth Health Device Profile(HDP)では、ヘルスデバイスと通信するためのDataTypeが定められています。
データタイプ | 説明 |
---|---|
BluetoothHealth.SOURCE_ROLE | データを提供する(ヘルスデバイス)側 |
BluetoothHealth.SINK_ROLE | データを受信する(受け取る機器)側 |
これらデータタイプは表の通り、動作に制約があります。SINKタイプであれば複数のSOURCE(ヘルスデバイス側)から情報を受け取ることができますが、その反対は出来ません。SOURCE側はあくまでデータを送出するためのデータタイプです。
実際に接続対象(例えば血圧計、歩数計など複数のデバイスが接続済みの際に血圧計を探す、など特定の)ヘルスデバイスと接続する際は、BluetoothHealthクラスのregisterSinkAppConfigurationメソッドを使って通信するための準備を行います。このメソッドでは接続状態など通信処理に必要なコールバックを受けるための設定を行います。
以下のサンプルコードをみて実際の処理を確認しましょう。
サンプルコード
private void registerHealthDevices(){ MyBluetoothHealthCallback mCallback = new MyBluetoothHealthCallback(); mBluetoothHealth.registerSinkAppConfiguration("HEALTH_DEVICES",BluetoothHealth.SINK_ROLE, mCallback); } class MyBluetoothHealthCallback extends BluetoothHealthCallback { @Override public void onHealthAppConfigurationStatusChange( BluetoothHealthAppConfiguration config, int status) { super.onHealthAppConfigurationStatusChange(config, status); // TODO : 接続したいヘルスデバイス(3rdパーティ製品など)のconfigを覚える mHealthConfig = config; } @Override public void onHealthChannelStateChange( BluetoothHealthAppConfiguration config, BluetoothDevice device, int prevState, int newState, ParcelFileDescriptor fd, int channelId) { super.onHealthChannelStateChange(config, device, prevState, newState, fd, channelId); // TODO: ヘルスデバイスの状態変更通知 mChannelId = channelId; } }; private void unregisterHealthDevices(){ mBluetoothHealth.unregisterAppConfiguration(mHealthConfig); }
4行目:BluetoothHealthクラスのregisterSinkAppConfigurationメソッドを使って、ヘルスデバイスに接続するための設定を行います。
11行目:BluetoothHealthCallbackクラスのonHealthAppConfigurationStatusChangeメソッドは、ヘルスデバイスとのアプリケーション設定情報の状態通知です。変更がある度、呼び出されることになります。statusは BluetoothHealth.APP_CONFIG_REGISTRATION_SUCCESS もしくは BluetoothHealth.APP_CONFIG_REGISTRATION_FAILURE が返却されます。
20行目:BluetoothHealthCallbackクラスのonHealthChannelStateChangeメソッドは、ヘルスデバイスとの接続状態通知です。ヘルスデバイスとの接続状況が変化すると呼び出されます。
prevState、newStateの値は以下の表に従います。
BluetoothHealthのフィールド名 | 該当チャンネルの状態 |
---|---|
STATE_CHANNEL_CONNECTED | 接続完了 |
STATE_CHANNEL_CONNECTING | 接続中 |
STATE_CHANNEL_DISCONNECTED | 切断完了 |
STATE_CHANNEL_DISCONNECTING | 切断中 |
32行目:BluetoothHealthクラスのunregisterAppConfigurationメソッドを使ってアプリケーション設定mHealthConfigを破棄します。
ヘルスデバイスとの接続
ここまでくると、あとは今までに取得したBluetoothDevice情報、アプリケーション設定(mHealthConfig)を利用してヘルスデバイスとの接続・切断を行うだけです。
サンプルコード
private void connect(){ //Bluetoothデバイスに、コンフィグを使って接続する mBluetoothHealth.connectChannelToSource(mBluetoothDevice, mHealthConfig); } private void disconnect(){ //ヘルスデバイスと切断 mBluetoothHealth.disconnectChannel(mBluetoothDevice, mHealthConfig, mChannelId); }
3行目:BluetoothHealthクラスのconnectChannelToSourceメソッドを使って、ヘルスデバイスに接続します。
ヘルスデバイスと接続できると、前述のBluetoothHealthCallbackクラスのonHealthChannelStateChangeメソッドが呼ばれます。onHealthChannelStateChangeメソッドの引数にチャンネルIDが渡されますので、覚えておき、データ取得時、切断時に利用します。
8行目:disconnectChannelメソッドで接続を終了します。終了後に再接続したい場合は改めて、connectChannelToSourceメソッドを呼びだしてください。
すこし長くなりましたが、ヘルスデバイスに接続するまでをサンプルコード(コードスニペット)を利用して紹介しました。実際に利用する際はヘルスデバイスに応じてサンプルコードの修正が必要となりますので、十分注意してください。
以上、おつかれさまでした!